(平成8年電験3種 理論出題)
真空管にQ1=4[μC]及びQ2=5[μC]の二つの点電荷が40[cm]離れてあるとき、
二つの点電荷の間に働く力の大きさ[N]はいくらか。正しい値を次のうちから選べ。
(1)1.13 (2)1.34 (3)2.45 (4)3.67 (5)4.96
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★問題解答及び解説・・・・ 単位に注意しましょう。クーロンにおいてμCは10のマイナス6乗C、
距離40[cm]は0.4mに単位を調整して公式に代入すれば答えが出ます。正解は(1)
電荷Q1とQ2が距離rだけ離れて配置されていると,両電荷の間にはクーロン力と呼ばれる力が生じます。
このことは高校等の物理で既に習われていると思います。今も覚えていますか?
これは電験3種の理論において基礎中の基礎であり、皆様は電気の専門家なので、確実に覚えましょう。
クーロンの法則は恋愛の法則に似ています。力をFとすると、Fは次式のようになります。
恋愛の持続力は、二人のそれぞれの思いの積(電荷Q1とQ2の積)に比例し、
二人を隔てる距離(r)の二乗に反比例します。
F :二つの電荷に働く力 [N]
Q1.Q2:二つの電荷のそれぞれの電気量[C]
r :二つの電荷間の距離[m]
εo :真空の誘電率[F/m]=8.855×10-12
(平成16年電験3種 理論出題)
次の文章は、電界と電位差の関係について述べたものである。記述中の空白箇所( ア )、( イ )及び( ウ )に当てはまる語句又は記号として、正しいものを組み合わせたものは次のうちどれか。
図のように、電界の強さがE[V/m]の一様な電界中の点Aに、1[C]の正の点電荷をおくと、この点電荷には( ア )が働く。いま、この( ア )に逆らって、その電界中の他の点Bに、この点電荷を移動するには外部から仕事をしてやらなければならない。このような場合、点Bは点Aより電位が( イ )といい、点Aと点Bの間には電位差があるという。電位差の大きさは、点電荷を移動するときに要した仕事の大きさによって決まり、仕事が1[( ウ )]のとき、2点間の電位差は1[V]である。
( ア ) ( イ ) ( ウ )
@ 起電力 低い C
A 静電力 高い J
B 起電力 高い C
C 保持力 低い J
D 静電力 低い N
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★問題解答及び解説・・・・ある電界中に点電荷をおくと静電力(クーロン力)が働きます。
F=Q×Eの式において、Q=1であるため、E(N)の静電力が働く。静電力に逆らって電荷を移動させると、電荷間の距離が小さくなるので、大きな静電力が発生する。E=F/Qの式のように、電位は静電力に比例するので、静電力が大きくなると電位も高くなる。点電荷を移動したときに要した仕事の大きさはJ(ジュール)となります。詳細は3.電位補足説明を参照
正解A
ある物体が電荷を持つと、周りの空間に物理的状況変化をもたらします。これを電場または電界と言います。そしてこの電界の中に他の電荷を持ってくると、静電力(クーロン力)が生じます。電界の強さの定義は、点電荷から距離rに単位電荷1[C]を持ってきたとき発生する静電力として考ることができます。
よって,ある電荷Qから距離rの電界をEとし、その地点に単位電荷1[C]を置いたとき発生するクーロン力をFとすると、
ゆえに
E :電界の強さ [V/ m]
Q :ある電荷の電気量[C]
r :点電荷から電界の強さを求める点までの距離[m]
εo :真空の誘電率[F/m]=8.855×10 -12
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(電界の強さのまとめ)
@なにがしかの電気力が及ぶ空間を電界という。
A1[C]の電荷に1[N]の力をおよぼす電界の強さは、1[N/C] = 1[V/m]である。
B電界の強さE[N/C]=E[V/m]において、Q[C]の電荷が受ける静電力(クーロン力)をF[N]とると、F=QEまたは E=F/Qとなる。
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電界内の基準点から,電界内のある1点に1[C:クーロン]の正電荷を移動させるのに必要な仕事Vをその点の電位といいます。
つまり基準点から+1[C]の電荷を移動させるのに1[J:ジュール]の仕事を要するような電界内の1点の電位を1[V]といいます。V(ボルト)が電位の単位です。
基準点から電位がV[V]のところにQ[C]の電荷を移動させるのに要する仕事をW[J]とすれば,W=QVとなります。
2点間の電位の差を電位差または電圧といいます。
(平成9年電験3種 理論出題)
真空中におかれた平行電極板間に、直流電圧V[V]を加えて平等電界E[V/m]を作り、この陰極板に電子をおいた場合、初速度零で出発した電子が陽極板に到達したときの速度は、e[m/s]となった。このときの電子の運動エネルギーは、電子が陽極板に到達するまでに得るエネルギーに等しいと考えられ、次の式が成立する。
ただし、電子の電荷をe[C]、電子の質量をm[kg]とする。したがって、この式から電子の速度v[m/s]は、( イ )で表される。
上記の記述中の空白箇所(ア)及び(イ)に記入する字句として、正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。
@ |
eE |
|
A | eV | ![]() |
B |
|
C |
|
D |
|
「電子ボルト」もしくは「エレクトロンボルト(electron volt)」は、電位差の単位である「ボルト」と電荷「クーロン」をかけたもので、エネルギーを表します。エネルギーですから単位はジュール[J]です.
電子の質量をm、電位により電子が加速して速度vになったときの運動エネルギーの関係により
の関係式が成り立ちます。 このイメージ図を次に示します。
H15電験3種理論
図のように、真空中に電極間隔d[m]の平行板電極があり、陰極板上に電子を置いた。陽極板に電圧V[V]を加えたとき、この電子に加わる力F[N]の式として、正しいのは次のうちどれか。
ただし、電子の質量をm[kg]、電荷の絶対値をe[C]とする。また、電極板の端効果は無視できるものとする。
@ |
V2e/d |
A |
Vem/d2 |
B |
Vm/(d2e) |
C |
Ve/d2 |
D |
Ve/d |
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★解説および解答
電界Eの中で、電荷eが受ける力は、公式により
F=eE (N)となる。
陰極板〜陽極板の間隔d[m]に電圧V[V]を加えているので、電界EはV/dである。
故に F=e×E=eV/d (N)
解答 D
H13電験3種理論
静電界に関する次の記述のうち、誤っているのはどれか。
@ |
媒質中に置かれた正電荷から出る電気力線の本数は、そり電荷の大きさに比例し、媒質の誘電率に反比例する。 |
A |
電界中における電気力線は、相互に交さしない。 |
B |
電界中における電気力線は、等電位面と交差する。 |
C |
電界中のある点の電気力線の密度は、その点における電界の強さ(大きさ)を表す。 |
D |
電界中に置かれた導体内部の電界の強さ(大きさ)は、その導体表面の電界の強さ(大きさ)に等しい。 |
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★解説および解答
@電気力線Nと電荷Qと誘電率εの関係は、
N=である。
つまり、電気力線は、電荷に比例し、誘電率に反比例する。
A電気力線は正電荷から出て、負電荷で終わり、電気力線同士交差しない。
B電気力線の接線方向が電界の方向であり、等電位面と交差する。
C断面積1u当たりの電気力線の密度が電界の強さである。
D導体内部の電界の強さはゼロである。そのため導体表面の電界の強さ(に等しいは間違いである。
解答 D
H12電験3種理論
空気中に孤立した半径a[m]の導体球に帯電できる最大の電荷[C]の値として、正しいものは次のうちどれか。
ただし、空気の絶縁耐力及び誘電率はそれぞれEm[V/m]及びεo[F/m]とする。
@ |
|
A |
|
B |
|
C |
|
D |
|
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★解説および解答
空気中に浮かんだ半径a(m)の導体球の電荷をQとすると球表面の電界強度Eは、公式により
E=
この電界強度Eが空気の絶縁体力と等しいときが帯電できる最大電荷となる。
上式のEがEmのときのQを求めると
Q=
解答 C
H15電験3種理論
真空中において、一辺l[m]の正方形電極を間隔d[m]で配置した平行板コンデンサがある。図1はこのコンデンサの電極板間に比誘電率εr=3の誘電体を挿入した状態、図2は図1の誘電体を電極面積の1/2だけ引き出した状態を示している。図1及び図2の二つのコンデンサの静電容量C1[F]及びC2[F]の比(C1:C2)として、正しいのは次のうちどれか。
ただし、l>>dであり、コンデンサの端効果は無視できるものとする。
@ |
2:1 |
A |
3:1 |
B |
3:2 |
C |
4:3 |
D |
5:4 |
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★解説および解答
コンデンサの容量は、で表すことができる。
は、真空の誘電率、
は、媒体の比誘電率,
Sは、電極の面積,dは、電極間の距離
図1のコンデンサ容量C1は、
図2のコンデンサ容量C2は、電極面積がC1の1/2である真空誘電率のコンデンサと、電極面積がC1の1/2である比誘電率が3のコンデンサが並列に接続された状態と同じである。ゆえにC2は、
ゆえに C1:C2=:
=3:2
解答 B
(H10電験3種理論)
電圧V[V]に充電された静電容量C[F]のコンデンサと全く充電されていない静電容量0.5C[F]のコンデンサとがある。これら二つのコンデンサを並列に接続したとき、これらのコンデンサに蓄えられる全静電エネルギー[J]の値として正しいものは次のうちどれか。
@ |
|
A |
|
B |
|
C |
|
D |
|
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★解説および解答
電圧Vで充電されたコンデンサCの電荷をQとすると、Q=CVである。
2つのコンデンサを並列接続するので、合成静電容量をC2とすると、
C2=C+0.5C=1.5C
コンデンサに蓄えられる静電エネルギーは次式である。
並列接続後の総電荷量に変化がないので、全電荷はCVであり、静電容量は1.5Cである。並列接続後の静電エネルギーをW2とすると、
W2= (J) 解答C
(H9電験3種理論)
静電容量がそれぞれC1[F]、C2[F]及びC3[F]の3個のコンデンサを図のように接続し、直流電圧V[V]を加えたとき、コンデンサC2に蓄えられる電荷の値[C]として、正しいものは次のうちどれか。
@ |
![]() |
A |
|
B |
|
C |
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D |
|
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★解説および解答
並列コンデンサC2とC3の合成静電容量をC23とすると、
C23=C2+C3
C1とC23は直列なので、C23に加わる電圧をV23とすると、
コンデンサC2に蓄えられる電荷の値をQ2とすると、
Q2=C2×V23= 解答 D
(H9電験3種理論)
図の回路において、スイッチSが開いているとき、静電容量C1=0.004[F]のコンデンサには電荷Q1=0.3[C]が蓄積されており、静電容量C2=0.002[F]のコンデンサの電荷はQ2=0[C]である。この状態でスイッチSを閉じて、それから時間が十分に経過して過渡現象が終了した。この間に抵抗R[Ω]で消費された電気エネルギー[J]の値として、正しいのは次のうちどれか。
@2.50 A3.75 B7.50 C11.25 D13.33
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★解説および解答
コンデンサに蓄えられる静電エネルギーは次式である。
C1の静電エネルギーをW1とすると、
W1= (J)
スイッチSを閉じたときの合成静電容量をC2とすると
C2=0.004+0.002=0.006 (F)
スイッチSを閉じたときの全電荷は0.3(C)なので、このときの静電エネルギーをW2とすると
(J)
ゆえに、Rで消費されるエネルギーは
W1−W2=11.25−7.5=3.75 (J) 解答A
番号 | 項 目 | 公 式 |
1 | 電荷に関するクーロンの法則(真空中) | ![]() |
2 | 電界の強さ(真空中) | ![]() |
3 | 点電荷による電位 (真空中) |
![]() |
4 | 電子ボルト | ![]() |
5 | 電束密度 | ![]() |
6 | 静電容量(一般) | ![]() |
7 | 静電容量(平行板間) | ![]() |
8 |
静電界に蓄積される エネルギー密度 |
![]() |
9 |
静電容量に蓄積される エネルギー |
![]() |