1、磁気飽和
2、透磁率
3、磁気モーメント
4、磁気のヒステリシス
鉄などの強磁性体を磁化すると、磁化力Hを増加したときの磁束密度Bの関係は図1のようになります。図で分かるように磁化力が増すにつれてBの増加割合が鈍ってきます。これは磁性体の中で磁束が過密しすぎて起こる現象で、このような現象を磁気飽和といいます。このHとBの関係を表わ図のような曲線を磁気飽和曲線といいます。
物質中の磁化力Hのとき,Bの磁束密度を生じたとき,B/Hを透磁率といいます。この透磁率は、単位長,単位断面積における磁気低抗の逆数としても定義されています。
B=μHの関係式を覚えておけば、μ= B/Hが出ます。
〔注〕透磁率(μ)=真空の透磁率(μo)×比透磁率(μs)
磁極の強さmとし、磁極問の距離をlとすると、m×lを磁石の磁気モーメントといいます。
交番磁化力を受けた磁性体の磁束密度Bは,その磁化力Hの変化の経歴に関係し,図のようなヒステリシスループ(環線)を描きます。この現象を磁気のヒステリシスといいます。ヒステリシスループで囲まれた面積に比例した損失(ヒステリシス損)を伴います。
(H12電験3種問題)
図は強磁性体のヒステリシスループを示す。図中のBr及びHcは、それぞれ( ア )及び( イ )の大きさを表す。一般に、Brが大きくてHcの小さい磁性体は( ウ )に適し、Brも大きいが、Hcが大きい強磁性体は、( エ )に適する。
上記の記述中の空白箇所( ア )、( イ )、( ウ )及び( エ )の記入する語句として、正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。
@ |
(ア)保磁力 |
(イ)磁化力 |
(ウ)電磁石 |
(エ)永久磁石 |
A |
(ア)残留磁気 |
(イ)保磁力 |
(ウ)電磁石 |
(エ)永久磁石 |
B |
(ア)保磁力 |
(イ)残留磁束 |
(ウ)永久磁石 |
(エ)電磁石 |
C |
(ア)残留磁気 |
(イ)保磁力 |
(ウ)永久磁石 |
(エ)電磁石 |
D |
(ア)平均磁束密度 |
(イ)磁化力 |
(ウ)電磁石 |
(エ)永久磁石 |
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
★(解説及び解答)
図において、Bmは最大磁束密度、Brは残留磁気、Hcは保持力といいます。永久磁石に蓄えられる磁気エネルギーは、BrHc/2であり、これが大きいほど永久磁石に適している。一方電磁石としては、ヒステリシス損が小さい方がよい。(Hcが小さい)また、Brが大きくてHcが小さい強磁性体は、小さな励磁電流で大きな磁気を持つことになるので、電磁石に適している。 解答 A
(H10電気理論問題)
図のように磁束密度B=0.5[T]の一様な磁界の中に直線状の導体を磁界の方向に対して30°の角度におき、これにI=100[A]の直流電流を流した。このとき、導体の単位長さ当たりに働く力F[N/m]の値として、正しいのは次のうちどれか。
[ @ 10 A 25 B 38 C 46 D 53 ]
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★(解答及び解説)
単位長当たりとは、長さ1m当たりということです。題意より導体1mと磁束密度Bとの角度が30度なので、Bに対する有効な導体長さは1×sin30°(m)となります。導体に流れる電流がI、磁束密度Bなため、導体が受ける力Fは、F=B×I×1×sin30°となります。ゆえにF=0.5×100×1×sin30°=0.5×100×1×0.5=25[N]
導体が磁界から受ける力の公式、F=BIlsin30°[N]を使えば容易に答えが求まる。 解答 A
(H15 電験3種理論)
図のように、A、B2本の平行な直線導体があり、導体Aには1.2[A]、導体Bにはそれと反対方向に3[A]の電流が流れている。導体AとBの間隔がL[m]のとき、導体Aより0.3[m]離れた点Pにおける合成磁界が零になった。L[m]の値として、正しいのは次のうちどれか。
ただし、導体A、Bは無限長とし、点Pは導体A、Bを含む平面上にあるものとする。
@ |
0.24 |
A |
0.45 |
B |
0.54 |
C |
0.75 |
D |
1.05 |
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
★(解説及び解答)
無限長の直線電流の作る半径rの円周上の磁界強さHは、H=である。
導線A、Bの電流の向きは反対なので、点Pでは互いに打ち消す磁界の方向となり題意より合成磁界が零であるので次式が成り立つ。
−=0
上記をLについて解くと L=0.45 解答A
(H13電験3種電気理論)
磁束密度2[T]の平等磁界が一様に紙面の上から下へ垂直に加わっており、長さ2[m]の直線導体が磁界の方向と直角に置かれている。この導体を図のように5[m/s]の速度で紙面と平行に移動させたとき、導体に発生する誘導起電力[V]の大きさとして、正しいのは次のうちどれか。
@ |
5 |
A |
10 |
B |
16 |
C |
20 |
D |
50 |
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
★(解説及び解答)
誘導起電力の公式により、e=v×B×L
vは速度(m/s)
Bは磁束密度(T)
Lは導体長さ(m)
ゆえにe=5×2×2=20(V)
解答 C
(H10電験3種電気理論)
磁気回路における磁気抵抗に関する記述のうち、誤っているのはどれか。
@ |
磁気抵抗は、次の式で表される。
|
A |
磁気抵抗は、磁路の断面積に比例する。 |
B |
磁気抵抗は、比透磁率に反比例する。 |
C |
磁気抵抗は、磁路の長さに比例する。 |
D |
磁気抵抗の単位は、[H-1]である。 |
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
★(問題の解説及び解答)
(1)は電気のオームの法則V=IRと同じように磁気のオームの法則がある。磁気のオームの法則では起磁力=磁束×磁気抵抗で表すことが出来る。そのため@は正解。
(2)磁気抵抗は電気抵抗と同様に考えることが出来る。磁気抵抗は比透磁率と磁路の断面積に反比例し、磁路の長さに比例する。磁気抵抗は断面積に反比例するが正解。
(3)比透磁率とは、ある物質の真空の透磁率に対する割合を示している。上記(2)で述べたように、磁気抵抗は比透磁率に反比例する。
(4)磁気抵抗の大きさは、(2)で述べたように磁路の長さに比例する。
(5)題意の通りである。
解答 A
H12電験3種理論
真空中におかれた巻数Nの円形コイルに直流電流I[A]を流したとき、円形コイルの中心に発生する磁束の磁束密度[T]を表す式として、正しいのは次のうちどれか。ただし、円形コイルの半径をa[m]、真空の透磁率をμ0[H/m]とする。
@ |
|
A |
|
B |
|
C |
|
D |
|
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
★(問題の解説及び解答)
磁束密度をB[T]、透磁率をμ0[H/m]とすると、B=μ0Hとなる。また、半径a[m]の巻数Nの円形コイルに電流I[A]を流したときの中心の磁界の強さは、公式によりH=NI/(2a) [A/m]である。
∴B=μ0H =μ0 ×NI/(2a)
解答 D
H9電験3種電気理論
巻数30のコイルを貫通している磁束が0.1秒間に1[Wb]の割合で変化するとき、コイルに発生する起電力[V]の大きさはいくらか。正しい値を次のうちから選べ。
[ @ 250 A 300 B 350 C 400 D 450 ]
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★(問題の解説及び解答)
誘導起電力をeとすると公式により
e=−N (マイナスは変化を妨げる方向の意味)
ゆえに、 e=30×1/0.1=300 (V) 解答 A
H15電験3種電気理論
図のように、環状鉄心にコイル1及びコイル2が巻かれている。コイル1、コイル2の自己インダクタンスをそれぞれL1、L2とし、その巻数をそれぞれN1=100、N2=1,000としたとき、L1=1×10-3[H]であった、このとき、自己インダクタンスL2[H]の値と、コイル1とコイル2の相互インダクタンスM[H]の値として、正しいものを組み合わせてたのは次のうちどれか。
ただし、鉄心は等断面、等質であり、コイル及び鉄心の漏れ磁束はないものとする。
|
L2[H] |
M [H] |
@ |
1×10-1 |
1×10-2 |
A |
1×10-1 |
1×10-3 |
B |
1×10-2 |
1×10-2 |
C |
1×10-2 |
1×10-3 |
D |
1×10-4 |
1×10-4 |
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
★(問題の解説及び解答)
@L2を求める
L1=N1 これにより φ1=L1
L2=N2 これにより φ2=L2
題意より漏れ磁束が無いためφ1=φ2となる。
ゆえに
L1=L2
ゆえに
L2=L1××
=102 また、コイルに流れる電流は巻数比に反比例するので=となる。
故にL2=L1×=1××=(H)
AMを求める
コイルの相互インダクタンスをMとすると、漏れ磁束が無いので結合度が1となり
M=1× [H]となる。
L1、L2の値を代入するとM=10-2 [H]
解答 @
番号 |
項目 |
公式 |
1 |
磁気力に関するクーロンの法則(真空中) | |
2 |
磁極による磁界の強さ (真空中) |
|
3 |
磁極に及ぼす力 | |
4 |
磁気モーメント | |
5 |
ビオ・サバールの法則 | |
6 |
無限長導体のrの距離の磁界 | |
7 |
円形コイル中心の磁界 | |
8 |
無限長のソレノイド内の磁界 | |
9 |
起磁力 | |
10 |
磁束 | |
11 |
透磁率 | |
12 |
磁束密度 | |
13 |
磁気抵抗 | |
14 |
電磁力 | |
15 |
平行電流間の力(真空中) | |
16 |
長方形コイルに働くトルク | |
17 |
電磁力による仕事 | |
18 |
誘導起電力 | |
19 |
環状ソレノイドの自己インダクタンス | |
20 |
環状ソレノイドの相互インダクタンス | |
21 |
電磁エネルギー密度 | |
22 |
インダクタンスの電磁エネルギー |