(H11 電験3種機械)
直流発電機に負荷をつないで、電機子巻線に電流を流すと、( ア )により電気的中性軸が移動し、整流が悪化する。この影響を防ぐために、ブラシを移動させるほか、次の方法が用いられる。その一つは、主磁極とは別に幾何学的中性軸上に( イ )を設け、電機子電流に比例した磁束を発生させて、幾何学的中性軸上の( ア )を打ち消すとともに、整流によるリアクタンス電圧を有効に打ち消す方法である。他の方法は、主磁極の磁極片にスロットを設け、これに巻線を施して電機子巻線に( ウ )に接続して電機子電流と逆向きに電流を流し、電機子の起磁力を打ち消すようにした( エ )による方法である。
上記の記述中の空白箇所( ア )、( イ )、( ウ )及び( エ )に記入する字句として、正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。
( ア ) ( イ ) ( ウ ) ( エ )
① 減磁作用 補 極 並 列 補償巻線
② 減磁作用 補償巻線 直 列 補 極
③ 電機子反作用 補 極 直 列 補償巻線
④ 電機子反作用 補償巻線 並 列 補 極
⑤ 電機子反作用 補償巻線 直 列 補 極
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★解答及び解説
直流発電機の電機子に電流が流れると、その電流の作用により界磁に対し電気的に90°ずれた磁界が生じ、交さ磁化作用と減磁作用が生じる。これを電機子反作用という。この対策として、補極若しくは補償巻線を設ける。補極は主磁極とは別に設けて、巻線は主磁極巻線に直列に接続する。補償巻線は主磁極の一部に溝を設けてこのなかに主磁極の巻線と直列に接続されている補償巻線を設ける。 解答 ③
(補足説明)
①補償巻線
補償巻線は主磁極の一部に溝を設けて、このなかに電機子と直列の巻線を巻いたもので、電機子電流と逆の磁界を作り、電機子の反作用磁界を完全に打ち消すようにしたものである。そのため、理想的な対策であるがコスト増のディメリットが欠点である。
②補極
整流軸上に補極を設置し、これに電機子と直列の巻線を施し、ブラシ付近の反作用磁界を打ち消すもの。これは補償巻線ほどコストがかからない。
(H10 電験3種機械)
直流分巻電動機が入力電圧100[V]、入力電流21[A]、回転速度1 200[r/min]で運転されている。この場合の発生トルク[N・m]の値として、正しいのは次のうちどれか。ただし、界磁回路の抵抗は100[Ω]、電機子回路の抵抗は0.2[Ω]とする。
[ ① 1.5 ② 1.6 ③ 15 ④ 17 ⑤ 19 ]
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★解答及び解説
発生トルクをτ、出力をP、角速度をωとすると、τ=P/ω
上図に置いて、界磁電流は100V/100Ωより1Aなので、電機子電流は、21-1=20(A)
電機子抵抗が0.2Ωなので、電機子電圧は100-0.2×20=96(V)
ゆえに出力Pは、96×20=1920(W)
角速度ωは、分速1200回転より 2π×1200/60=40π
ゆえに τ=1920/40π≒15(N・m) 解答 ③
(H9 電験3種機械)
直流直巻電動機の負荷電流が40[A]、負荷トルク500[N・m]で全負荷運転している。負荷電流が20[A]に減少したときの負荷トルク[N・m]の値として、正しいのは次のうちどれか。ただし、電機子電流が40[A]以下の範囲では、この電動機の磁気回路の飽和は、無視してよいものとする。
[ ① 100 ② 125 ③ 250 ④ 354 ⑤ 1 000 ]
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★解答及び解説
電動機の負荷電流とトルク等の関係は、トルクをτ、磁束をφ、負荷電流をIとすると
τ=K1×φ×I (K1は比例定数)
直流直巻電動機の磁束は負荷電流に比例するので、φ=K2×I ゆえに上式は、
τ=K1×K2×I×I=K× ・・・・式(1) (Kは比例定数)
負荷電流が20[A]のときの負荷トルクをX[N・m]とし、負荷電流が40[A]のときの負荷トルクが500[N・m]なので、値式(1)より
500=K×・・式(2) X=K×
・・式(3)
式(2)÷式(3)より 解答 ②